協力隊まつり応援オンライン イベントの報告をさせていただきます。

(本イベントは野毛坂グローカルが事務局となり実施しました)

 

JICA海外協力隊(青年海外協力隊)とは、JICAが実施する海外ボランティア事業です。過去多くの人が途上国で活動し、その経験を糧に帰国後も多くの人が、日本で、世界で活躍しています。

そういった協力隊のOB有志が協力隊まつり実行委員会をつくり、毎年4月20日の協力隊の日前後に各種の協力隊OB会が参集して「協力隊まつり」を実施しています。これは、協力隊OBがその活動を紹介したり、様々な国際協力/交流、多文化理解をOBだけでなく、一般の人、あるいは将来国際協力を目指す若い人に紹介することを目的としたイベントです。

今年2020年も実施する方向で準備してきたのですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止となりました。そのため、有志による協力隊まつり応援オンラインイベント実行委員会が主催となり、協力隊まつり実行委員会との共催で、本オンラインイベントが開催されることとなりました。企画開始から実施までわずか1週間でこれだけのイベントができたのは一重に、関係者の皆様をはじめ協力、参加いただいた方々のおかげです。臨機応変な対応でイベントを実現させてくださったすべての方に、この場を借りて感謝します。

 

当日は、現役JICA海外協力隊員、OB、国際協力に興味のある人など、日本全国各地や海外からも参加があり、接続者常時320名以上での実施となりました。当初予定から多少の変動はありましたが、スムーズに進行が行われ、約2時間半にわたるイベントは無事に終了しました。

 

新型コロナウイルスとの戦いは世界中で続いています。世界各国で活動していた JICA 海外協力隊の現役隊員も一時帰国を余儀なくされ、訓練を終え派遣予定であった隊員も待機している状況です。イベントではそんな状況下の現在の心境や、現地での活動内容等を3名の話題提供者が語りました。その後の質疑応答やチャット欄のコメントでも、参加者同士で活発に意見が交わされている様子が伺えました。また、国連ESCAP秋山さんの「誰も取り残さないインクルーシブな社会をつくるには」と題するお話では、障害者・社会的弱者と呼ばれる人々がコロナの危機でどのような影響を受けているのか学び、コロナ終息後も社会がどうなるか考え、行動する必要性を感じさせてくれました。

 

素晴らしい司会とファシリテーションで進行を進めてくれた守都さんは最後に、「一時帰国中の隊員は色んな思いが渦巻いていると思いますが、その期間が長い短いにかかわらず、その任地で出会った人々にとって風であり、希望であり、可能性であったと信じています」と励ましの言葉をかけるとともに、「協力隊は、協力隊に限らず私たちは、どこにいても風を巻き起こしていくことができます。心の中に感じている新しい風を新しい可能性へとつなげるエネルギーにかえていってください」と締めくくりました。本イベントにより少なからず何かを感じた参加者は、どんなに不安な世の中でも、困難な状況でもくじけず、置かれた場所で風を巻き起こしていこうと気持ちを新たにできたのではないでしょうか。

なお、当日の様子はyoutubeに公開してます。
https://youtu.be/sIRHHJyZlng

日時:2020年4月25日 14:00-16:00

費用:無料

主催:

協力隊まつり応援 オンラインイベント 実行委員会

実行委員長:吉田勝則(協力隊まつり実行委員長兼任)

実行委員:川田千穂(早稲田大学学生)、岸 卓巨(ケニアOB)、高井温子(ブータンOB)、田賀朋子(セネガルOB)、武井啓子(タイOB)、守都未来(岡山JICAデスク)、松本直子(モンゴルOB)、渡部悟(ミクロネシア、マレイシアOB)

(事務局:奥井利幸 野毛坂グローカル)

 

共催:協力隊まつり実行委員会

 

詳細:https://nogezaka-glocal.com/2020/04/19/jocv-fes/

 

プログラム:

◆趣旨説明、挨拶

・吉田勝則 協力隊まつり応援オンラインイベント実行委員長

協力隊まつり実行委員長

◆参加者全員の自己紹介:

◆JICA協力隊参加予定者の予定される活動や抱負や今の思い

・宮重真奈 ベナン派遣予定

◆新型コロナによる緊急一時帰国中のJICA協力隊員の活動の内容や今の思い

・山上莉奈 マダガスカル派遣

・郡司武史 カメルーン派遣

◆質疑応答

◆ゲストスピーカー「取り残される」社会的弱者とSDGs

秋山愛子 国連アジア太平洋経済社会委員会 社会問題担当官

国際的に障害インクルージョン、障害者人権推進に関わる専門家

最近は特に誰一人取り残さない防災に注力

 

ファシリテーター:守都未来(国際協力推進員)

高校時代からタイやカンボジアを訪れ、地雷の被害や公衆衛生について学ぶ。カナダの大学で国際開発学を学んだのち、岡山で多文化共生団体立ち上げ、岡山ユニセフ勤務などを経て現職。

 

 

別添アンケート結果から

イベント申込者:453名   参加者:常時320名以上

アンケート回答者:283名

 

1.参加者居住地

海外8カ国、日本国内39都道府県から参加

関東133(47%)、それ以外145(51%)、非公開5(2%)

参加人数の多い都道府県:

東京63、神奈川39、千葉18、愛知12、岡山10、埼玉10、長野8、兵庫7、宮城6,新潟6など

 

所感:通常の協力隊まつりであれば殆どの参加者は関東からと思われますが、今回の参加者は過半数が関東以外からでした。また、日本全国からの参加者がいますが、岡山、新潟のように人口規模に比べて参加者の多い県もあれば、参加者ゼロの県もあるので、広報が行き届かなかったと思われます(岡山、新潟は実行委員の広報の効果と考えられます)。

 

2.参加者属性

JICA海外協力隊OB                                        117(41%)

JICA海外協力隊合格有資格者(派遣前)     69(24%)

学生                                                                39(14%)

社会人(協力隊OB以外)                        26( 9%)

JICA海外協力隊(緊急一時帰国中)           25( 9%)

その他                                7( 2%)

 

所感:協力隊OBや派遣待ちの隊員の参加が多くみられました。また、学生や社会人も一定数以上いました(多くが協力隊参加に興味を持つと考えられます)。

一方、一時帰国中の隊員は多くはありませんでした。気持ちの切り替えができていないこともあるかもしれません。

 

3.意見・感想・質問など(一部)

運営に関するもの:

・協力隊まつり参加団体の紹介が欲しかったです。

・動画やコメントを公開して欲しいです。

・オンラインのメリットを感じました。

・直前に申し込んだためか接続方法の連絡がなく参加できませんでした。

・4人の発表者の方のみの発表で少し残念でした。多くの方が発表出来ればと思いました。

・話題提供の方々のプレゼンがやや立派すぎて、これから参加しようという方々にはハードルが上がったかなと思いました。

・協力隊まつりの縮小版になるのかなと思っておりましたが、リアルの協力隊まつりとは違う、とてもおもしろいイベントになったかと思います。

・オンラインのイベントを企画してからわずか数日で準備して実現したと聴きました。JICA関係者の実行力、すごいと思います。

 

気持ちの変化に関するもの:

・同じ合格派遣待ちの人の話が聞けて安心しました。

・海外にいてもみなさんと繋がることが出来て、励みになります。

・混乱の中、私にとっては前向きな気持ちになれる貴重な機会でした。心から感謝しております。

・派遣が今中止になっていて今後どうしようか不安でしたが、今回皆さんのお話をきいて、悩んでいるのは自分だけじゃないと、少し落ち着くことができました。また、自分がやりたかったことを振り替えることができました。

・派遣延期となり不安な毎日でしたが、今日は皆様から元気をいただきました。

・私も突然の派遣中止に見舞われ、残念な気持ちがあったのですが、同じ境遇の人の気持ちを知ることができ、自分だけではないことがわかりました。また平穏な日常が戻った時に、国際協力に関わる活動ができるよう、気持ちを前向きに準備をしておこうと思いました。

・訓練前なので、仲間が居なくて心細く感じていましたが、参加できて、やっぱり諦めたくない!という気持ちを再確認できました。

・皆さんとても優秀で、その持たれている力を世の中のために使おうとされている姿勢に感銘を受けました。

・現役隊員の方、これから派遣される方のお話を伺うと、初心に返るような、励まされるような気持ちになりました。

 

その他:

・これからの進路を考える上でとても参考になりました。

・他国の隊員の活動を知る機会があまりないので良かったです。

・コロナ拡大に対するJICAの対応は仕方ないと思いますが、突然、活動を中止された隊員の無念、不安な気持ちを思うと、何か我々としても協力できないか考えています。

・私は現在大学生で、協力隊で活動することを人生の1つの目標としています。今日は同時に3人の方からお話を聞くことができて大変貴重な時間でした。

・こんな時でもこうやって不特定多数の人たちと出会うことができるということは、とても良い経験でした。

 

 

(報告者 奥井利幸、山上莉奈)