外国人観光客の招致、技能実習生など外国人労働者の増加など、自治体においても外国人との関わりが増えています。そのようななか、日本に増える外国人との多文化共生との視点だけでなく、途上国と日本の学び合いや共感の醸成が、双方の地域創生まちづくりに役立つとの視点にたち、どのような可能性があるのか、また実施に双方が行き来するのが困難な「withコロナ」時代に何ができるのかを考えるきっかけとなることを目的として、双方の学び合いの意味や事例の発表、今後の取り組みなどを発表いただきます。

また、パネルディスカッションやフロアディスカッションを通じて、参加者全員で考える会です。

【背景】
途上国と日本の地域コミュニティの共通点と相違点を学び合うことにより、双方間の理解促進共感の醸成にみならず、双方の地域コミュニティにおける多文化共生のまちづくりに役立つとされ、その取組は様々なところで行われています。多文化共生とは本質的には「異なる環境・考え方である相手を理解し共生する」ということであり、外国の異文化理解のみだけでなく、障害者など「異なる環境で生きることを余儀なくされる人」や多様な価値間を持つ人との共生です。 

また、特に地域コミュニティでは、それぞれの国の社会経済状況の相違点があっても、人間社会としての共通点も多く、一方でその基本的な部分が法律や制度で多い隠されがちです。例えば、地域で高齢者をどう支えていくかという議論をする際に日本ではまず介護保険の制度や町内会や民生委員の役割などを前提としてしまうが、途上国の全く異なる社会制度のなかでの活動と学びあうことにより、「地域で高齢者を支えるうえでの工夫」という共通点から、既存の発想にとらわれない新たな取組も生まれると思われます。

 但し、現時点では、その取組は各地で行われているが、まだまだ具体的な目に見える成果までにはいたっている事例はまだ少ない。そもそも、「目に見える成果」にとらわれすぎないことも、ひとつの学びあいの成果として重要なのかもしれない。

実施方法:オンラインシステムzoomにより開催

日時: 6月19日 20時ー22時半

想定する参加者:自治体関係者、日本のまちづくり関係者、コミュニティ開発分野での国際協力に関心のある人、学生など

参加料:無料

申込み:https://forms.gle/cdysoPCPtUeehT366

主催:野毛坂グローカル
共催:神奈川県湯河原町
後援:
自治体国際化協会
後援:神奈川県
協力:横浜国立大学大学地域間協力ユニット
   協力隊まつり実行委員会

プログラム

0)趣旨説明・登壇者紹介など 
司会&ファシリテート 山田理恵 自己紹介&一般社団法人 あいあいネット紹介

1)はじめに
  (仮題)SDGs時代のコミュニティ・デザインのかたち:「地域間協力」の可能性と展望
               佐藤峰 横浜国立大学准教授

2)海外と日本の学びあいのまちづくり、自治体の取り組み

・神奈川県湯河原町の取り組み   加藤宏翼 湯河原町主査
・岩手県陸前高田市の取り組み   木全洋一郎 陸前高田市地域振興部課長
・島根県海士町の取り組み     尾前未緒 海士町職員  

3)海外と日本の学びあいのまちづくり、NGOの取り組み 

・奥井利幸     野毛坂グローカル  

4)質疑応答・ディスカッション

<話題提供者略歴:発表順>

・山田理恵 一般社団法人 あいあいネット理事
東京生まれ、東京育ちの江戸っ子だが、その後長い横浜暮らしを経て現在は逗子在住。一方で、インドネシアとの付き合いは20年以上となった。一般社団法人あいあいネットでは、西部バリ国立公園と周辺コミュニティで、人と自然の共生を目指した活動をインドネシアの仲間たちと共に創り、佐渡島や徳之島の人々を巻き込みながら様々な場面での学びあいをプロデュースしている。

・佐藤峰 横浜国立大学都市科学部准教授
途上国および日本の経験をもとに「資源制約を前提にした、当事者主体で持続可能なコミュニティデザイン」をテーマに研究および実践を行っている。JICA海外協力隊、国際協力機構(JICA)専門家、ユニセフ、JICA研究所研究員などを経て現職。
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業、ウェールズ大学大学院(修士)、カリフォルニア総合研究大学院(博士)。

・加藤宏翼  神奈川県湯河原町地域政策課 係長
民間企業から転職し、2010年4月湯河原町役場に入庁。
観光課、社会福祉課、住民課、神奈川県出向を経て、現在地域政策課では総合計画の策定、地方創生、国及び県への要望活動などを担当し、国際関係では、タイの自治体向け高齢者施策研修などの実施や、農協女性部と連携しての南米婦人グループ組織強化研修などを実施。

・木全洋一郎   岩手県陸前高田市地域振興部商政課長
横浜国大大学院修了。JICA入職直後の札幌で国際協力と日本の地域開発の親和性を認識。赴任先のタイの村と滋賀県甲良町との町づくり交流に強い刺激を受ける。以後、日本の地方創生に資する国際協力の取り組みに関与を続ける。2019年4月より、陸前高田市役所に出向。ポスト復興の町づくりをにらみ、国内外の様々なアクターとの協働を模索中

・尾前未緒   島根県海士町職員
2017年4月にJICAに入構し、JICA本部で勤務後、2019年4月から地方創生のトップランナーと評判の海士町で暮らしながら活動。海士町では、JICA青年研修(ブータン王国地方行政)を担当して、できる限り多くの町民と協働できるような研修内容を実施。ブータン人研修員からも、海士町民からも高い評価を得るプログラムとして高い評価を得た。

・奥井利幸 野毛坂グローカル代表
「誰一人取り残さない共生の地域づくり」をめざして、途上国と日本の学びあいを実施する国際協力&地域コミュニティづくりNGO「野毛坂グローカル」代表。
アジア各国でのコミュニティ開発分野、社会的弱者支援分野の国際協力経験を経て現職。