【申込みは締切ました 次回参加に関心のある人は野毛坂グローカルにコンタクトください】

2025年2月9日から16日まで、タイへのスタディツアーを行います。
「政策から現場まで」として、タイ政府や国連機関からコミュニティの現場まで訪問し学びます。
医療保健福祉や環境、多文化共生など社会課題に関心のある学生の参加をお待ちしています。

特徴:
・政策レベルからコミュニティまで学びます
・政府機関、メディア、企業など、幅広い分野を学べます
・少人数でリアルな現地課題を学べます
・国際協力経験が深いスタッフが同行します
・比較的安価に参加いただけます

※今回は野毛坂グローカルが実施する次の2つのプロジェクトも訪問し、セミナー/ワークショップの現場も体験いただきます。

◆自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクト(SMART&STRONGプロジェクト)
https://smart-strong-project.org/

◆ミャンマーやカンボジアからタイへの移民労働者の子どもの就学促進プロジェクト
https://nogezaka-glocal.com/efa/

 
参考:野毛坂グローカルの実施するスタディツアーについて
   https://nogezaka-glocal.com/study/

  
参加自己負担費用(概算):
航空賃(東京ーバンコク往復)65000円程度(航空会社や日程などによって異なる)
宿泊費:1泊4000円程度
タイ国内交通費(自己負担分):1日1000円程度
食費:1日1000円程度
旅行保険:3000円程度
その他個人的経費
(野毛坂グローカルは、企画運営費、同行スタッフの経費人件費、タイ国内交通費を負担)
 
参加条件:
・(原則として)お名前、学校、顔写真などを公開可の人
・報告書を作成いただける人
・報告会、発表会への参加をいただける人
・未成年の場合は保護者の了承がいただける方
・原則24歳以下の学生
(25歳以上の場合、社会人の場合は別途費用負担協力をお願いすることがあります)
・自身で責任を持って行動できる人
・語学力などは問いません
#車椅子利用の方なども相談ください
#観光旅行ではありません。朝や夜間もふり返り会などがあるかなりハードな旅行です
#「交流目的」ではありませんので、現地での学生との交流などを希望する方はむかないと思います。
 
 日時:2025年2月9日から16日(原則 現地集合、現地解散)

スケジュール:
2月 9日(日) 各自バンコク集合

2月10日(月)
午前:国連ESCAP
午後:アジア太平洋障害者センター(APCD) 
   社会開発人間安全保障省障害局
   国際協力機構(JICA)タイ事務所
2月11日(火)
午前:自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクト(SMART&STRONGプロジェクト:市立病院、デイケアセンター、高齢者活動センター)
午後:口腔ケアセミナー運営補助/聴講(講師:神奈川県立保健福祉大学久保田悠先生)
2月12日(水)
午前:バンコク プラウェート地区ゴミ集積地スラム
午後:NHKバンコク支局、東洋ビジネス・サービス
2月13日(木)
午前:パタヤ レデンプトリスト障害者職業専門学校
午後:ラヨン県タップマー市のコミュニティビジネス(養蜂)
夕方:カンボジア人コミュニティのまち歩き
2月14日(金)
ミャンマーやカンボジアからタイへの移民労働者の子どもの就学促進プロジェクトセミナー/ワーウショップ 運営補助/聴講
2月15日(土) 
午前:チュラロンコン大学学生との交流会
夕方から夜:アンパワー水上マーケット、ホタル見学
2月16日(日) 
午前:移民労働者向け識字教室(FRY)
午後:マングローブ植林地見学
夕方:振り返り会 解散参加者:草野詩織  早稲田大学4年
この旅での私の目標は、今の私が知らない価値を見つけることです。私は世界中に友達が欲しいと夢見る小学生でした。スマホの普及で比較的簡単に夢が叶えられるようになり、誰かを真に理解するには相手が何を大切にしているかを知る必要があることを学びました。今回の旅で出会う人、タイの方や共に行く仲間から、今の自分にはない考え方を学び、世界の大切なものを増やしたいです。
中村美遥  京都大学4年
総合人間学部で公共政策と労働法を専攻しております。北欧の労働政策や福祉に興味があり、3回生の時にスウェーデンのストックホルム大学で1年間留学をしていました。中高演劇をやっていたこともあり、趣味は舞台やミュージカルを見にいくことです!カンボジアの小学校での英語教育ボランティアに参加したことをきっかけに、国際協力に興味を持つようになりました。今年の4月から国際協力銀行に入行を予定しており、特にインフラ開発に関わりたいと思っております。今回のスタディツアーでは、タイで社会課題解決に向けて様々な活動をされている方のお話を聞いたり、プロジェクトサイトの見学をさせていただく中で、特に日本の立場から他国の社会課題解決にどのように貢献していけるのかについて理解を深めたいと思っております。

峯本麻由 徳島大学医学博士課程1年
昨年アメリカの公衆衛生大学院修士課程を卒業し帰国後、現在は臨床医として働きながら医学博士課程に在籍しています。もともとミャンマーやカンボジアでの短期ボランティアでの経験はありますが、アメリカで座学で公衆衛生学を学んでいるうちに、今知識を得た状態で教室を飛び出し、もっと現場の声を聞きたいと思い、仕事の合間に今回参加することを決意しました。今回の旅で出会う方々から沢山刺激を受けたいと思います、どうぞ宜しくお願いいたします。

島田紗恵子 法政大学4年(タマサート大学交換留学中)
日本の大学では環境保護、生物多様性をベースとした持続的な社会について学び、留学先のタマサート大学では、主に東南アジア社会の貧困や移民について学んでいます。何にでも好奇心があるので、質問をたくさんすると思いますが、よろしくお願いします。

工藤 綾太 東京大学2年(チュラロンコン大学交換留学中)
チュラロンコン大学に1年間交換留学しています。タイの雰囲気と文化、そして新興国での生活に惹かれてタイに留学しました。日本では理系ですが、タイでは文系の学部に留学しています。どうぞよろしくお願いします!!

大澤穂香  早稲田大学2年 (タマサート大学交換留学中)
タマサート大学の政治学部に去年の8月から今年の5月までの予定で留学しています。元々タイドラマが好きなことがきっかけでタイに関心を持つようになり、留学先としてタイを選びました。政治学の中でも政策の分野に興味があり、弱い立場の人を苦しめる社会問題の解決に携わりたいという思いがあります。しかし、具体的な将来像はまだ見えていないため、このスタディツアーでも何かヒントを得たいと考えています。

清水陽太  明治大学2年(チュラロンコン大学交換留学中)
2024年夏からタイのチュラロンコン大学に1年間留学中です。クラシックギターと美術・仏像鑑賞を趣味としており、仏教国であるタイでは休暇や空き時間を利用してバンコク近郊の寺院を熱心に巡っています。私は日本の社会保障政策、特に高齢者ケアの在り方に関心があり、タイの寺院で目にした地域ボランティアによる高齢者への温かな関わりに深く感銘を受けました。この経験から、タイ独自の地域に根ざしたケアの仕組みについて、より深く学びたいと考えています。

増山優      埼玉大学2年(タマサート大学交換留学中)
2024年8月からタイのタマサート大学に交換留学をしており、前期に開講されていた授業では社会政策や移民、子どもの権利、ソーシャルビジネスなどについて学びました。主な関心領域は開発社会学ですが、政治学などにも興味があります。このスタディーツアーを通して、様々な角度から観察・考察し、タイについての理解を深めたいと考えています。また、そこから日本にまで視野を広げ、タイと日本がいかに学び合えるかについても考えるきっかけにしたいです。

注:「スタディツアー」との名前がついていますが、旅行会社などが企画する「ツアー」ではありません。野毛坂グローカルに同行して現地を訪問するものです。参加者各自の責任のうえでの個人旅行となり、野毛坂グローカルは旅行の実施やトラブルに関する責任を負いません。

(野毛坂グローカルの道義的な責任はありますので、万が一の事故やトラブル時もできるかぎりのサポートを実施)

 


【報告】
2月10日から16日の7日間、タイのバンコクを中心に様々な場所を訪問し、タイの社会について政策レベルから地域コミュニティまで、幅広い視点からお話を伺ったり、見学をさせていただいた。また、野毛坂グローカルが実際に実施するプロジェクト活動も見学訪問する中で、国際協力に関わる視点についても学んだ。

1日目(2月10日(月))

  • 社会開発人間安全保障省障害局 (Department of Empowerment of Persons with Disabilities, Ministry of Social Development and Human Security)
  • 国連・アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP)
  • アジア太平洋障害者センター (Asia-Pacific Development Center on Disability: APCD)
  • 国際協力機構 (JICA) タイ事務所

最初の目的地はタイ政府の社会開発人間安全保障省の障害局であった。ここでは主に戦略開発計画部長の方からタイにおける障害者の状況、障害者の権利に関するタイの法律、障害者向けの福祉サービスの概要や政策方針などについて教えていただいた。理念だけでなく具体的な施策を作ろうという意識や、障害者サービスセンター(Disability Service Center)をタイ全土に3000以上設置し、ICTを活用してサービスへのアクセス向上を目指しているといった様々な工夫が印象的だった。

その後訪れた国連・アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)では、理学療法士のバックグラウンドを持ち、現在ESCAPで活躍されている夏目淳一さんのお話を伺った。夏目さんのキャリアのお話を中心に伺う中で、青年海外協力隊などの経験を通して、個人レベルのサポートを超えて政策レベルで社会を変えたいと考えたことが現在の国連機関でのキャリアに繋がっており、今後のキャリアでも政策と現場のバランス感覚を活かしたいとおっしゃっていたことが印象的であった。

次にアジア太平洋障害者センター(APCD)に訪れた。同センターは、アジア太平洋諸国の障害者のエンパワメントと社会のバリアフリー化を目指す機関である。所長のお話を伺ったあと、JICA海外協力隊として現在APCDで活躍されている板子博子さんから、APCDの概要説明、インクルーシブな防災に関するプロジェクト事例紹介、板子さんのキャリアについて伺った。特に防災に関して、災害という非常事態時に障害者の方がどのような状況にあるのか、どういった対策が必要なのかといった点は大変考えさせられた。また、単に日本とタイの二国間の協力だけでなく、タイを通して周辺国へもインクルーシブな防災意識を広げていくための第三国研修という手法が印象的であった。

1日目の最後は、国際協力機構(JICA)のタイ事務所を訪れ、主に民間連携事業を担当している安原裕人さんから、JICAの政府開発援助(ODA)の幅広いスキームの紹介や、JICAタイ事務所の概要、過去のプロジェクト事例などの紹介をしていただいた。特にタイは経済的に発展してきたことから、無償資金援助は現在行っておらず、また、取り組む課題の見極めがとても難しくなっているというお話が印象的であった。

2日目(2月11日(火))

  • パトムタニ県ブンイトー市(SMART&STRONGプロジェクト)

バンコクを離れて北に一時間ほどのブンイトー市に行き、午前中に市立病院、デイケアセンター、高齢者活動センターを見学、午後は口腔衛生に関する研修会の手伝いを行った。

ブンイトー市は野毛坂グローカルが協力する自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクト(SMART&STRONGプロジェクト)の中心的な自治体であり、その取組を見学した。特に、高齢者活動センターでは、利用者の方からダンスやカラオケなどを通して暖かくおもてなしをしていただき、大変楽しい思い出となった。また、お話から、タイの自治体は成功事例を国レベルの政策に反映させる意識が高いこと、ボランティアが重要な役割を担っていることなど、日本との違いを学んだ。午後はプロジェクトの活動の一環ととして実施するボランティアの方向けの口腔衛生に関するセミナーの運営補助をした。講師は神奈川県立保健福祉大学久保田悠先生が務められ、参加者のボランティアの方の年齢が30代から70代と幅広いこと、みなさんとても熱心にセミナーを受けられていたことが印象的であった。

3日目(2月12日(水))

  • バンコク都プラウェート地区にあるゴミ集積地スラム
  • 民間企業(東洋ビジネスサービス)
  • メディア(NHKアジア総局)

午前中、ゴミ集積地スラムに訪問し、コミュニティのリーダー幹部のタイ人の方から様々なお話を伺った。このスラムはゴミの処理場に隣接しており、またタイ人でだけでなくミャンマー人も多く住んでいる。私自身は、初めてのスラムへの訪問だったこともあり、まずはその衛生環境やバンコク中心地と比べての生活の違いなどに衝撃を受けたが、お話を聞く中で特に印象に残ったのはコミュニティ内におけるタイ人とミャンマー人の格差である。特にタイ人は家の持ち主としてそれを貸す側であったり、ミャンマー人が多く働くゴミ分別の会社を運営する使用者側であったりと強い立場にいること、また、コミュニティ内の総人口はミャンマー人の方が多いにも関わらず、コミュニティリーダーは全員タイ人ということが印象的だった。

午後は、東洋ビジネスサービスの益雪大助さん、NHK記者の金知英さんのお二方からお話を伺った。それぞれの業務やそれに対する思いだけでなく、キャリアや生活とのバランスに対してのお考えも伺うことができて、大変参考になった。

4日目(2月13日(木))

  • パタヤ レデンプトリスト障害者障害者技術専門学校 (The Pattaya Redemptorist Technological College for People with Disabilities)
  • ラヨン県のコミュニティビジネス(養蜂)
  • ラヨン県のカンボジア人コミュニティ

バンコクをはずれ、タイ東部のチョンブリ県パタヤやラヨン県に向かった。まずはパタヤ レデンプトリスト障害者技術専門学校に訪れた。この学校は、社会変革を行ない得る人材を育てるという理念で、障害者向けの無償の教育を行なっている。この学校で特に印象的だったのは、理想をかざすだけでなく現実的な施策を行っていることであった。インクルーシブな社会実現に向けた素晴らしい理念を持ちながらも、まずは障害者が社会で経済的自立をできるようにといった目の前のステップを重要視しており、そのために様々な妥協も受け入れた中で運営が行われていた。

午後はラヨン県タップマー市の養蜂コミュニティビジネスを訪問した。このビジネスの発起人であるご夫婦のお話を聞き、コミュニティビジネスは成功例が少ない中で、ここではただお金を稼ぐという目的ではなく、趣味や社会貢献として養蜂を楽しんでいる方が多いというのが一つの成功要因であるということが印象的だった。

夕方にはカンボジア人コミュニティ2か所を訪問させていただいた。1か所目は工場勤務者が多いコミュニティ、2か所目は水産業に携わる人が多いコミュニティであった。

カンボジア人住民の方のお話を伺う中で、タイ人との立場の強さの違い、経済的格差があること、また、こどもの教育の権利やその必要性への理解にも課題があることを学んだ。またここへの訪問においては、自分たち外部者としてコミュニティの内部の素直な事情を伺うことの難しさや、自分たちが与えてしまう負担やストレスについて意識することの大切さにも気付かされた。

5日目(2月14日(金))

  • ラヨン県タップマー市(移民労働者の子どもの就学促進プロジェクト)

野毛坂グローカルが笹川平和財団(SPF)や国際労働財団(JILAF)などと共に支援をしている移民労働者の子どもの就学促進プロジェクトの実施する研修会に参加させていただいた。午前中は議員や村長、保健ボランティアなどコミュニティリーダーに対して、午後は自治体職員や幼稚園や小学校、特別支援学校、非公式教育学校の教師向けに行われ、移民の子どもの教育について様々な議論が交わされた。市長や市役所幹部も参加されており、これほど多くの方がこのプロジェクトに関わっているということがまず印象的だった。

特に、午前の議論では、タイの子どもも課題があるなか外国人の子どもを支援することに対する心理的抵抗や、外国から単身でタイに働きに来るのであればよいが教育は母国でうけるべき、また、不法滞在の移民の子どもにタイの税金を使うべきでないといったネガティブな意見も交わされたが、様々な意見があることは承知の上で、正論だけを押し付けるのではなく少しずつ子どもの権利について共感してもらうという姿勢が、当事者主体で社会を変えていくためにとても重要なのだろうと学ばせていただいた。

6日目(2月15日(土))

  • チュラロンコン大学学生との交流会
  • 博物館などの訪問(ラチャブリ県・サムットソンクラム県)

タイ留学中の学生の企画でチュラロンコン大学の文学部の学生との交流会をした後、ラチャブリー国立博物館やその周辺の寺院、公園の散策をして、宿のあるサムットソンクラム県アンパワーの水上マーケットに向かい、夜には船に乗って蛍見学をした。前日までとは趣向が違い、メインでは観光を楽しんだ1日となったが、同時にこれまで考えたことや感じたことについて、参加者とゆっくりと話し合うことができる時間ともなった。

7日目(2月16日(日))

  • 移民労働者向け識字教室(Foundation for Rural Youth :FRY)
  • マングローブ植林地

午前中、FRYというNGOが運営する移民労働者向け識字教室を訪問させていただいた。ここではミャンマー、カンボジアなど様々な国の出身者が学んでおり、また、内容もタイ語の識字から公立学校への入学準備の学習、非公式教育、職業教育など幅広く行なわれている。NGO幹部の方からお話を聞く中で、目の前の子どもたちのために、そして社会を変えていくために、自分の生活を犠牲にして熱い思いを持って取り組んでいらっしゃる姿は大変印象的であった。また、財政面で苦労が多いことなど、現場レベルで多くの課題があることを学ばせていただいた。

午後はマングローブ植林地へ訪れた。このマングローブの景色は圧巻で多くの人が観光で訪れていたが、元々その場所にはマングローブ林を切り開いて作ったエビ養殖池などがあり、日本などの外国に輸出されるエビの加工のために多くの労働者が低賃金で過酷な労働を強いられていたなど人権侵害の過去もある場所であった。実際にこういった地を訪れることで、自分が知らない間に人権侵害に加担してしまっていないか、消費者として意識していきたいと考えさせられた。その後はバンコクに戻り、本ツアー最後の振り返り夕食会をして解散した。

ツアー全般を通じて、毎日予習会や振り返り会があり、参加者間で意見交換がなされた。

また、一人20分程度の自己紹介タイム(自分語り)を順番に実施しすることで、参加者同士の思いの共有や理解の促進に役立った。

(報告:中村美遥)