野毛坂グローカルでは、日タイの自治体や大学、事業者などをネットワーク化して、相互の発展を目指す「コミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクト」を実施しています。

今回、活動報告会、ネットワーク加盟署名式 、 管理運営、諮問委員会を7月10日-12日にホワヒン市で開催します。

2019年にブンイトー市と協力協定を締結、2020年にはタップマー市が加わり2か所に、2021年に4か所、2022年に9か所、そして今回、新たに16の自治体とネットワーク協定を締結して、タイの2自治体によるネットワークになります。

ネットワーク参加自治体 今回ネットワーク新規加盟自治体
パトムタニ県ブンイトー市 ロイエット県ロイエット市 ヤラ県ヤラ市
ラヨン県タップマー市 ナコンシータマラート県トゥンソン市 ヤラ県ベートン市
ランプン県ランプン市 ガラシン県ガラシン市 パトムタニ県パトムタニ市
プラチュアップキリカン県ホワヒン市 チョンブリ県パナットニコム市 サケオ県アランヤプラテート市
チョンフ゛リ県パタヤ市 ラチャブリ県ガチャップ市 パトムタニ県サナンラック市
トラン県カンタン市 チェンマイ県サンポン市 コンケン県コンケン市
ロブリ県カオプラガム市 ピサヌローク県ピサヌローク市 ノンタブリ県バンシートン市
ターク県サイルアット市 チャチュンサオ県サメットタイ町
スラタニ県ナーサン市 チェンライ県パーン市

プログラム

7月10日(月) 9:00-16:00(日本時間11:00-18:00) オンライン聴講参加可
        各自治体高齢者ケア状況紹介
7月11日(火) 9:00-9:30 (日本時間11:00-11:30)    新規加入16自治体による署名式(各市長らが署名)        

        10:10-12:30  (日本時間12:10-14:30)  管理運営諮問委員会 オンライン聴講参加可

7月12日(水)  ホワヒン市現地見学(高齢者デイケアセンター、地域保健センター)

※オンライン聴講希望される方はこちらへ
info@nogezaka-glocal.com

プロジェクトの背景

 タイでは、医療の充実による平均寿命の上昇や、少子化により、急速に高齢化がすすみ、その対策が急務です。従来は家族やコミュニティによる高齢者ケアが中心でしたが、社会保障制度の充実(=社会化)が重要になる一方、日本では介護保険など社会保障制度の整備がなされていましたが、現在は地域包括ケアなどコミュニティの役割が重要視され、両国で「コミュニティや地方自治体レベルでの高齢者ケアの取り組み」が課題となっています。
 本プロジェクトは、「タイの自治体どうしの学びあい」「日本とタイとの学びあい」を下記のような日タイの各種団体がネットワークを構築して、「コミュニティベースの統合型高齢者ケアモデル」の普及を行っています。今まで、認知症カフェの実地、高齢者ディケアセンターの開設、認知症サポーター養成講座の開催など多くの学びあいの成果が発現しています。
 

  タイ 日本
自治体 パトムタニ県ブンイトー市、ラヨン県タップマー市、チョンブリ県パタヤ市、プラチュアップキリカン県ホワヒン市、ロブリ県カオプラガム市 など 
当初9自治体 → ロジェクト終了時には最低20自治体の計画
神奈川県湯河原町

など

大学 タマサート大学(社会福祉分野のトップ大学)
チュラロンコン大学(政治分野のトップ大学)
マヒドン大学(医療分野のトップ大学) など
大阪大学
東京都市大学
大阪公立大学
帝京科学大学 など
民間事業者 ヘルスケアワークショップ株式会社 など 民間介護福祉関係企業など
介護事業者/社会福祉法人など
NGO 野毛坂グローカル
政府機関 社会開発人間安全保障省 内務省 など 国際協力機構(JICA)
自治体国際化協会(CLAIR)

2021年までは、上記赤色のブンイトー市、タップマー市、タマサート大学、湯河原町、野毛坂グローカルが中心になっておこなってきましたが、2022年8月からは独立行政法人 国際協力機構(JICA)の草の根技術協力(パートナーシッププログラム)【「自治体ネットワーク」によるコミュニティベース統合型高齢者ケアの普及モデル構築と人材循環プロジェクト】として、湯河原町が実施機関、野毛坂グローカルが協力機関として、さらに多くの機関・団体とネットワークを組みながら実施していきます。

従来の国際協力と異なる新たな手法

  • 急速に進むタイの高齢化への対策(「自治体やNGO主体」でJICAの枠組みを使った協力)
  • 日本とタイとの「対等な学びあい」による(タイへの貢献だけでなく)日本への貢献
  • 中央政府主導ではなく、日タイの自治体を中心とし多くの団体のネットワークによる協力
    (↑ 従来行われてきた「政府への協力」は政府から地域への普及が課題、 「地域への協力」は地域の取り組みを他地域への普及が課題であった。 本プロジェクトでは、ネットワークで実施するので「実施=普及」が自然に成り立ちます)
  • 中央政府や日本の予算投入は限定的であり「各自治体の予算」で実施

(↑ 外からお金をほとんど投入しないので、ある自治体の事例は他の自治体で実施可能(=普及が容易)です)

プロジェクト基本情報
◆プロジェクト正式名称(日本語):

タイ国の「自治体ネットワーク」によるコミュニティベース統合型高齢者ケアの普及モデル構築と人材循環プロジェクト (略称:自治体ネットワークによるコミュニティベース統合型高齢者ケアプロジェクト)

◆プロジェクト正式名称(英語):
Project on the Development of Local Authorities of a Community-Based Integrated Elderly Care model (略称:SMART&STRONG Project)

◆プロジェクトスキーム:JICA草の根技術協力 (JICAパートナーシッププログラム)の活用

◆プロジェクト実施期間:2022年8月1日から2025年7月31日

◆プロジェクト ウェブサイト:
http://smart-strong-project.org/

◆プロジェクトSNS:

Facebook:thjp.smartstrong
Instagram: thjp.smartstrong
Twitter: thjp_networks


<外務省白書でも紹介されました>
外務省 2022年度版開発協力白書
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo.html


プロジェクトの経緯

1.2019年までの取り組み

ブンイトー市バンコクの北40km 人口3.5万人
(住民登録をしていない住民を含めると約10万人)

タイ ブンイトー市の取り組みに、タマサート大学や湯河原町、野毛坂グローカルが協力をしてきた。結果、統合型高齢者コミュニティティケアの代表的な取り組みとなっている。

ブンイトー市が実施する包括的高齢者ケアモデル構築を、主にタマサート大学、神奈川県湯河原町、NGO野毛坂グローカルが支援


(左:ブンイトー市、タマサート大学、NGO野毛坂グローカルによる協力協定(2019年7月26日) 右:ブンイトー市、神奈川県湯河原町による協力の覚書(2019年7月23日))

2.2021年までの取り組み

ブンイトー市の取り組みをさらに発展させるとともに、その取組をタイの自治体へと普及させるために、「ネットワークによる普及」をはじめました。まずは、ブンイトー市とラヨン県タップマー市、ロブリ県カオプラガム市、プラチャップキリカン県ホワヒン市とネットワークでの情報交換をはじめました。

タイの自治体のネットワーキングを推進していく。
(それを、タマサート大学、神奈川県湯河原町、NGO野毛坂グローカルが側面支援)



(コロナ禍で渡航ができないなか)ブンイトー市、タップマー市、野毛坂グローカルによるオンラインでの協力協定の締結(2020年11月26日)

また、本枠組みにもとづく取り組みは、日本政府アジア健康構想にもとづく

2021年第2回アジア健康長寿イノベーション賞の「大賞」を受賞しました。

  在タイ日本大使館における受賞式(梨田全権大使)       日本における受賞式(ニューオータニホテル)


3.2022年の取り組み

2022年8月に開始時には9ヶ所の自治体のネットワークを、日タイの多くの大学や民間企業とのネットワークも加えて、1年半後には20ヶ所に拡大する予定で実施。(実際は、1年後(2023年7月に25ヶ所)と大きく広がる)
さらに将来は近隣国へと展開を行います。中央省庁主導ではなくコミュニティベースの取り組みであり、多大な予算を使わないこともあり、周辺国への展開も容易であることが見込まれます。
       

本取り組みは自治体国際化協会(CLAIR)の「日本の自治体とNGOが連携しての国際協力」として支援をうけ、その成果は日本の地域づくりに裨益するとして、セミナーでも発表を行いました。
本取り組みは、日タイのネットワークでもあり、タイとの学びあいにより日本の地域における取組に多く裨益することも期待されています。

4.2023年の取り組み
ネットワーク自治体内で様々な学び合い取り組みがすすんでいます。

相互の訪問しての学びやメッセンジャーでの情報交換などにより、多くのアウトカムが発現しています。
下記はその一例です。

2023年3月 東部ラヨン県タップマー市でのデイケアセンターの開所
ブンイトー市の事例や日本の事例をもとに、タップマー市でデイケアセンターをオープンしました

2023年6月 タイではじめての「認知症サポーター養成講座」の開催
認知症は、地域のなかで支えあうニーズが大きな症状です。日本では各地において「認知症サポーター養成講座」が行われ、これまで約150万人の認知症サポーターが認定されてきました。特に湯河原町では学校での養成講座を積極的に実施しています。それを参考にタイで初となる「認知症サポーター養成講座」が、ブンイトー市において、ワットキケンケエート高校生を対象に行われ、修了証が交付されました。

2023年7月(予定) 南部スラタニ県ナーサン市でのデイケアセンターの開所
ブンイトー市やタップマーの事例、日本の事例をもとに、ナーサン市でデイケアセンターをオープンします

2023年7月(予定) タイで二ヶ所目の認知症カフェの実施
2022年5月にブンイトー市でタイはじめての認知症カフェが実施されましたが、その経験をもとにタップマー市でタイ二箇所目となる認知症カフェが実施されます。
※認知症カフェとは :認知症になっても住み慣れた地域、自宅で暮らすことを目的として、認知症、当事者や家族が集ったり、相談したりできるインフォーマルなサロンです。日本では厚生労働省により2015年に「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」が制定され、NGOや介護事業者、自治体などにより運営されています。

その他 主なもの

2023年1月 タイの英字紙バンコクポストにて高齢者ケアの取組などがタイの優良事例として紹介されました

2023年5月 タイの公共放送 THAI PBS にて、ブンイトー市の高齢者ケアが放送されました

2023年5月 外務省『2022年版開発協力白書』のコラム ~国際協力の現場から~ に掲載されました

2023年6月 国際開発学会 秋田大会において、プロジェクトマネジメント事例として発表されました