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海外スタディツアー&出張同行

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野毛坂グローカルでは、非営利事業として主に学生を対象に、1)海外スタディツアー 2)出張同行を実施しています。

1)海外スタディツアー

様々な大学の様々な学部の学生(一部高校生)が、様々な課題/分野をマクロからミクロまでを現地で視察や講義をいただき、一緒に学びディスカッションを行います。

次回は2025年月2月ころに次のスタディツアーを実施を予定しています。
1)一般学生対象 一週間程度
2)医療関係学部/福祉関係学部学生対象 上記に追加して2-3日

ご興味のある方はこちらから連絡ください。



きっと多くの気付きがあると思いますが、特に途上国を一方的な支援対象とするのではなく、タイの課題から日本が学べることを知れることは大きいと思います。
例えば、タイでのコミュニティでの保健医療資源は少ないのですが、最大化するための様々な工夫がありました。日本では、人口減少、経済縮小のなかで、保健医療資源も縮小しなければならないのだと思いますが、タイではそれをすでに実現しているともいえる気がします。
また、予算が少ないなか効果的なDX活用などスマートシティの取り組みがあります。

過去の実施日程(各回によって異なります):
2023年9月実施 詳細
訪問先
・国連機関/中央省庁/援助機関
国連開発計画(UNDP)/ 
国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)/ 国際協力機構(JICA) / 日本貿易振興機構(JETRO) / タイ政府社会開発人間安全保障省高齢者局 / アジア太平洋障害者センター(APCD)
・国際協力プロジェクト
スマート&ストロングプロジェクト
(自治体ネットワークによる統合型高齢者ケアプロジェクト)
・大学/学校

チュラロンコン大学政治学部 / パタヤレデンプトリスト 障害者技術専門学校
・メディア
朝日新聞アジア総局 / NNA(TAHAILAND)
・企業
パーソナルコンサルタンツ
・自治体/コミュニティ活動
ラヨン県タップマー市(高齢者支援/環境活動/コミュニティ・ビジネス)

カンボジア人コミュニティ
北部少数民族の村見学(社会開発人間安全保障省)  
オンヌットスラム(ごみ収集場所/ミャンマー人コミュニティ)
・その他
パタヤ市立病院

無農薬野菜栽培ファーム見学(Thai Cosmos Foods Co.,Ltd.)
       (堆肥つくり体験、自然ハーブティ試飲)
2024年4月実施 詳細
訪問先
・国連機関/中央省庁/援助機関
国連開発計画(UNDP)/ 国際労働機関(ILO)/ 国際協力機構(JICA) / タイ政府社会開発人間安全保障省障害者局 / アジア太平洋障害者センター(APCD)

・国際協力プロジェクト
スマート&ストロングプロジェクト
(自治体ネットワークによる統合型高齢者ケアプロジェクト)
・メディア
NHKアジア総局 
・企業
丸紅 / パーソナルコンサルタンツ
・自治体/コミュニティ活動
ロブリ県カオプラガム市(困窮家庭訪問) / 外国人の支援NGO MDF(ミャンマー人コミュニティ)
・その他
外国人支援/里山支援NGO Foundation for Rural Youth(FRY)
バンクンティエンマングローブ林 ラーニングセンター
バンコク第16保健センター(地域保健/医療)
エイズ患者のホスピス/居場所


特徴:

・政策レベルからコミュニティまで経験できます
・少人数でリアルな現地課題を学べます
・国際協力経験が深いスタッフが同行します
・比較的安価に参加いただけます
 
日程:
1)スタディツアー(一般学生対象)

日程:2024年9月1日から9月8日を予定
 
募集人数:4名程度
 
仮スケジュール例
(下記は例であり、すべてを訪問するわけではありません)

1日目 (各自): 日本からバンコクへ
2-3日目 政策面から学ぶ:政府機関/国連機関訪問
国連機関/タイ社会開発人間安全保障省/国際協力機構(JICA)
日本貿易振興機構(JETRO)/大学/メディア
4-7日 現場から学ぶ:コミュニティ/NGO
コミュニティでの保健・衛生・福祉・高齢者活動
スラム/移民労働者
その他コミュニティ活動
自治体ネットワークによる統合型高齢者ケアプロジェクト
(SMART&STRONG プロジェクト)
8日目 自由行動 夜帰国 (翌朝日本着)

 

2)コミュニティベース保健/医療/福祉/介護スタディツアー

日程:2024年9月1日から9月10日を予定
            (9月1-8日は上記「一般学生対象」スタディツアーと共通)
 
募集人数:4名程度
 
仮スケジュール例(一般学生対象に加えて)
・政府機関/国連機関/大学
・病院/ヘルスセンター/ディケアセンター
・コミュニティ活動/家庭訪問
  
 
申込者状況(2024年7月1日現在)
一般コース(9月1日から8日)

榎本春音 東京大学2年    
大嶋勘太 青山学院大学1年  
奥井真菜緒 早稲田大学1年   
宮内正枝  創価大学1年    
神谷綾音  早稲田大学3年
古田夢歩  明治学院大学2年
晴  チュラロンコン大学1年(一部参加)
サポーター参加
(神谷優大 野毛坂グローカル理事)
 
医療・公衆衛生・福祉コース:(上記+10日まで)
片桐碧海  東京医科歯科大学博士課程2年

松山峻大  滋賀医科大学医学部4年 
 
 
 
参加自己負担費用(概算):
航空賃(東京ーバンコク往復)60000円程度(そのときによって異なる)
宿泊費:1泊4000円程度
タイ国内交通費(自己負担分):1日1000円程度
食費:1日1000円程度
旅行保険:3000円程度
その他個人的経費
(野毛坂グローカルは、企画運営費、同行スタッフの経費人件費、タイ国内交通費を負担)
※社会人の場合は、原則として協力金10万円をいただく予定です
(スタディツアー事業経費に充当)
 
参加条件:
・(原則として)お名前、学校、顔写真などを公開可の人
・報告書を作成いただける人
・報告会、発表会への参加をいただける人
・未成年の場合は保護者の了承がいただける方
・原則24歳以下の学生
(25歳以上の場合、社会人の場合は別途費用負担協力をお願いします)
・自身で責任を持って行動できる人
・語学力などは問いません
#車椅子利用の方なども相談ください
#観光旅行ではありません。朝や夜間もふり返り会などがあるかなりハードな旅行です
#「交流目的」ではありませんので、現地での学生との交流などを希望する方はむかないと思います。

社会課題を学ぶツアーになります。事前にzoomなどで面談させていただき、趣旨に照らし合わせて野毛坂グローカルの判断でお断りすることもありますので予めご了承ください。(その場合はお断りする理由の説明は行いません)
 
 
参加者報告例:

都留文科大学 内海元太さん

今、人生が変わる学びをしている。今回のタイスタディツアー中に何度もそう思った。「政策レベルからコミュニティまで体験できる」とホームページに記載されていたが、まさにその通りであった。日本ではお伺いすることのできない機関や団体に訪問させていただいて広い視点での学びを実践できた。その中でも、このスタディツアーで私の人生が変わるほどの得られたものを3点紹介したい。  1つ目は、国際協力への覚悟である。私は過去2回の海外ボランティアの経験から将来国際協力に携わりたいと考えている。貧困地域の子供たちへのボランティアに参加をして、日本との違いに衝撃を受け、この子達が幸せになれる世界にしたいと思ったことがきっかけである。このような経験から、現場で活躍できる国際協力に携わりたいと考えていた。いや正しくはそれしか知らなかった。私は国際協力を目指していたにもかかわらず、国際協力に対して無知であった。無意識に避けていた自分がいた。情けないが怖かったのである。自分は今までなんとなく公務員にでもなれればいいかと考えていた。それがひょんなことから参加した海外ボランティアにより、生まれて初めて心からやりたい仕事に出会えた。それに伴い東南アジア経済学の勉強にも興味が湧いた。国際協力に関連した勉強は楽しく、どうしても叶えたいと思えるようになった。しかし、簡単になれる職業ではないことぐらい知っていた。大した語学力も学歴もない自分がなれるのだろうか。不安であった。自分の初めてできた国際協力の夢が壊れるのが怖くて潜在的に逃げていた。とても情けないがこれが渡航前の私のリアルな思いであった。  だが、この旅は私を大きく変えた。初日に私が働きたいと考えていたJICAでの仕事内容と働きたい理由を述べた際に、奥井さんは考えが甘いとはっきり言ってくださった。この言葉から国際協力と真剣に向きあおうと思った。今回の旅の自分のテーマを「自分の目指す国際協力とは何か」に決めた。実際に国連、JICA、NHK、丸紅など様々な視点から国際協力を学ぶことができた。その中でも、JICAの川合さんが仰っていた日本に誇りを持ち、日本代表としての国際協力に魅力を感じた。自国だけの利益を追求するのではなく、世界の問題に取り組む考えは共感した。現場で活躍する以外にも多種多様な国際協力の形を知ることができた。現実的な話である雇用形態やこれまでの経歴も同時に知り改めて夢を叶えるハードルの高さも知れた。しかし、もうネガティブな感情はない。むしろ、どうやって世界を変えよう!と熱い思いがみなぎっている。 2つ目は、クリティカルシンキングである。私たちは今回の旅の中で何度もミーティングをした。朝、夜、訪問後絶えず議論を繰り返した。その中で成長したと感じることがあった。それがクリティカルシンキング(批判的思考)である。ミャンマー人学校を経営しているミンミンさんの涙が出るほどの自己犠牲やカオプラガム市の革新的な高齢者支援には大きく感心した。しかし、感心して思考を止めてはいけない。その自己犠牲の活動に持続可能性はどれほどあるのか、市民の賛同を十分に得られた政策なのか疑問点は存在する。一見正しいと見えることにも一歩足を止めて考えなければならない。  私は去年の夏にカンボジアへ貧困地域の小学校に校舎を建てるボランティアに参加した。子供たちは喜んでくれていたし、きっといいことをしたんだと思っていた。しかし、この旅を終えて改めて考え直した。あの校舎は今どうなっているのか。校舎の維持は誰がしているのか。維持が負担にはなっていないだろうか。隣の町はどうなのだろうか。小学校でよかったのか。そもそもあの小学校に校舎は必要だったのだろうか。当時、自分のボランティアが正しいと思い込んでいた時には、思いつかなかったことばかりである。カンボジアのボランティアを主催された方と今度会う機会がある。この新しく生まれた疑問と主催の方の思いを共感と冷静の思考で伺い、新たな学びに繋げたい。 3つ目は、尊敬できる仲間である。今回の旅のメンバー全員を心の底から尊敬している。それぞれの興味分野に対して行動を起こしていて、自分の目標を堂々と語っていた。訪問先では質問が絶えなかった。それぞれが助け合い、かつ切磋琢磨し学び合っていた。同年代の尊敬できる人たちと学び合うことは何よりも自分を成長させてくれると感じた。それと同時に負けなくない、この仲間にすごいと思わせたいと感じた。勝手にライバルのように思っている。こんなにも将来が気になるメンバーと出会えたのは初めてである。将来、国際協力を目指しているメンバーもそうでないメンバーもいる。しかし、将来何かの機会で出会うことがあるかもしれない。その時にはまたお互いを助け合い、高め合えるような大人になっていたいと強く思う。 最後にILO川崎さんの大学時代にやらずに後悔したことをみなさんに共有したい。それは「夢や目標を人に伝えること」である。自分の内に秘めているだけでは、誰も助けてくれない。自分の考え、夢を言語化することの重要性を強調していた。ここで私の夢を皆さんにお伝えしたい。私の夢は、「当たり前が当たり前じゃない暮らしを、可能性、選択肢の少ない世界を変えたい」である。そのために、日本代表としての国際協力に携わりたい。これが現在の私の夢である。そして私の夢はまだ始まったばかりだ。今回の旅を通して世界の課題は複雑に繋がっていて永遠に答えはないのだと思った。私の夢も同じだ。だからこそ、私は今後も自分の夢を、世界の課題を考えることを止めずに学び続けようと思う。

早稲田大学法学部 藤原梨乃さん

私は、今回のスタディツアーを通じて、タイだけに留まらず、世界と、特に現在急速に発展している東南アジア諸国と日本の間に、これまでの継承ではない新しい「助け合い方」を自分たちが創っていかなければいけないことを強く自覚した。そして、自分たちが、そのような助け合い方をつくっていく主体であるという自覚がこれまでの私のように、私たち20代の若者には足りていないことにとても危機感を抱いた。①新しい助け合い方を、②私たちがつくっていくという二つの視点から、この結論にいたるまでの経緯を述べたい。  スタディーツアーでは、前半に国連、障害局、タイアジア太平洋障害者センター、NHKアジア総局、民間企業、後半にNGO、JICA、自治体を訪問した。法整備支援という仕事に個人的な興味があり、その点法整備に携わるUNDPの佐藤弁護士のお話はとても興味深いと同時に、自分の根底にある「途上国支援」という概念は大きく変わることとなった。私は法整備支援に携わることを目的にこれまで法学部で学んできた一方で、法整備がカンボジアを代表する多くの国で進んできた話を耳にして、これから自分が法整備に対してできることがあるのか疑問に思うこともあった。他国の法整備に携わるのに、日本の法を学ぶことが本当に必要なのか、法整備を行う主体は日本である必要があるとすれば、日本の法律は進んでいるのかという疑問をぶつけることができた。お話の中で、「進んでいる・遅れているという考えはとても危険で、日本の法整備の背景や体系を踏まえ、日本が法整備に携わる可能性があるというだけで、日本が進んでいるから支援をしているという訳では必ずしもない」上に、「確かに多くの国で法整備は進んできていて、これからは新しい法整備支援のあり方を考えていかなければならない」とおっしゃっていたことがとても印象的だった。  似たような新しさは、NHKや民間企業でも実感した。日本の学校の教育では、東南アジアには途上国が多く、インフラが未整備で、教育や福祉制度も不十分だと教えられるが、急成長するタイではそのイメージは全く実態に沿っていない。その例として、タイでは少子高齢化が進んでいることが挙げられ、その対策については、同じ問題に直面する日本と共に考える取り組みがされているそうだ。このように共通課題を抱える日本とタイの関係においては、共助が重要であり、法整備同様に新しい関わり方を考える必要があると感じた。私企業では、タイの雇用事情については、タイ人が日本に稼ぎに来るという印象が強かったが、タイでの給料が上がった今ではタイ企業で働く日本人が急速に増えているという話があり、これまで習ってきたイメージは通用しないということを実感した。  さらに、今回見てきた中で、日本ではあまり一般的ではないが、必要な視点や、制度を目の当たりにし、一層両国間の共助の余地があると感じた。その一つとして、アジア太平洋障害者センターで伺った障害者の話が挙げられる。障害者の障害は、その身体にあるのではなく、社会にあるという考え方は私には斬新なものに思われた。表面的に「障がい者は害ではないから、害という文字を使うのはおかしい」という考え方が日本では広く広まっているが、その考えが世界での主流を無視した浅い考えである可能性は考えてこなかった。  もう一つの例として、法政策の弱点という視点について、タイのカオプラガム市の取り組みを例に挙げたい。この市では高齢者一人一人に住民カルテが作られ、認知症の人はリストバンドで管理されているそうだ。市が住宅改修に入ったある高齢女性は、自宅が洪水で崩壊しても自宅を離れたくないという希望したそうだが、女性を施設に避難させるのではなく、自宅の改修という方法を市が選択しており、一人一人に対してその人に必要な支援を行っていることがよくわかった。日本では、ある基準を設けて安全のため危険な場所から市民を遠ざける選択が取られがちなように感じる。リストバンドについても、社会で認知症の人を見守るには最適解であるはずだが、プライバシーの侵害の観点から日本では制度化されにくいために、実施が進んでいない。法を固めてしまうと、国や市が定めた基準で汲み取ることができない指標は無視されてしまう。こうした法整備の穴を、カオプラガム市の取り組みを通じて実感した。  最初に挙げたもう一つの点、「自分が」周りを変える主体となるという意識の重要性も今回のスタディツアーで得た重要な視点の一つである。様々な立場の人の話を聞く中で、行動の動き始めは、やはり市民の何かを変えたい、という意識から始まっているという共通点を見つけることができた。特に、自身がミャンマーからの移民でミャンマー人学校を運営している方がタイにいるミャンマー人のために自分ができることを考え行動している姿はとても印象に残った。また、カオプラガム市では、市民が自分が携わっている実感を感じることで、ますますよりよい市をつくりたいとエンパワーされる好循環が生まれていた。同じように今自分が生きているコミュニティも、そして広い目で見れば世界も、変えることができるのは自分たち一人一人しかいないということを改めて実感するきっかけとなった。その点、日本では、自分を含め自分たちが世界に関わっているという意識がとても低いことを痛感した。自治体が政策をうつ際に、意見収集が大事、とよく言うが、意見収集という感覚自体が奇妙かもしれない。当たり前に聞き慣れた言葉だが、なぜ意見を言う側と、収集する側に分かれているのか、初めて疑問を抱いた。  最後に、タイや、同じように過去のやり方が通用しない東南アジアの他の国との助け合うことができる可能性を、私の周りではそもそも知らない人が多いが、それはなぜなのか、NHKでの話を通じて考えた。ニュースでその国の「今」を見ない限り、国の印象は習った通りのままである。考えてみれば、日本の歴史やテレビニュースはどちらかというと欧米中心で、東南アジアが登場することは割合で見れば極めて少ないと思う。実際にNHKは東南アジア全体を1〜2人で取材しているそうで、日本人が関心を持つのは欧米や東アジアが中心で、関心に基づくトピックを取り上げるとさらに関心が薄れてしまう。そのような悪循環が存在していることに問題意識を感じた。まずは自分自身が、世界の国の「今」と、自分自身のコミュニティの実態を知って、新しいボーダレスな助け合い方を考える主体にならなければいけないと感じた。

筑波大学人間学群  石丸友那さん

私は筑波大学人間学群障害科学類に所属し、障害や障害に関わる教育・心理・福祉・医療などの多領域から総合的に学んでいます。国際的な視野を持って学びを深めたいと思い、2024年4月に実施された野毛坂グローカル主催のタイへのスタディーツアーに参加しました。
ツアーでは、障害、貧困、コミュニティなど、ミクロからマクロまでの幅広い視点から、現場から政策レベルに至るまで学習しました。ここでは、特に印象に残った訪問先として、社会開発人間安全保障省障害者局、アジア太平洋障害者センター(APCD)、エイズ患者ホスピス、そしてロブリ県カオプラガム市での活動について触れたいと思います。

社会開発人間安全保障省障害者局では、「エンパワメント」というキーワードが強く印象に残りました。エンパワメントの重要性と、それを効果的に活動に結びつける必要性を学びました。
アジア太平洋障害者センター(APCD)では、「『障害』とは、社会に障壁があること」であるという考え方を再確認しました。障害を個人の機能の問題ではなく、社会や環境のあり方が原因であると捉えることが、すべての人が生きやすい社会を構築する上で重要であることを学びました。

エイズ患者ホスピスでは、「居場所」の大切さを強く感じました。過去には治療薬がなかったことや、薬が簡単に手に入らなかったため、毎日多くの人が亡くなったという事実を知りました。また、「自分の地域にいると差別を受けるからここへ来た」と語っていた入居者の言葉が心に残りました。共感し合える場所、人と関わり合える場所、そして安らぎと安心感を与えてくれる「居場所」の重要性を痛感しました。

カオプラガム市では、学生やボランティアと協力し、高齢者のいるすべての家庭の生活環境を把握し、支援が必要な人を発見して地域の人々と協力し、個々のニーズに応じた支援を提供する取り組みを行っていました。たとえば、寝たきりの男性を発見し、ボランティアと共同で支援やリハビリテーションを提供している事例や、地域社会全体で認知症の方を支援する取り組みなどです。これらの取り組みから日本も学び、日本に適した支援や政策を模索していくことが重要だと感じました。

このスタディーツアーを通じて、訪問先での学びに加え、異なる視点や専門性を持つ参加者からも良い刺激を受け、交流や意見交換を通じて人として成長できたと感じています。
ツアー全体を通して有意義な時間を過ごすことができ、訪問先の方々や仲間たちなど、タイスタディーツアーに関わったすべての人に感謝しています。
私は、今後大学院進学を考えていますが、これからも学び続け、すべての人が共に生きる社会づくりに少しでも貢献したいと考えています。

早稲田大学文化構想学部 伊藤わかなさん

ひとりひとりが社会の一員だと当事者意識を持つこと。そして、ひとりひとりがそのような意識を持てる環境を整えていくこと、が求められている。今回のスタディツアーで、私が現場を見て感じて考えて得た一番の学びである。
障害者、移民労働者の子ども、貧困者、困窮高齢者などと、世の中には社会から排除されがちな人々が沢山いる。
 日本は、「大多数にとって暮らしやすい社会」をつくってきたのだと感じている。実際普段の生活の中で、私は彼らに出会うことがほとんどない。それはプライバシーや個人情報保護に最大限配慮した社会であり、効率の良い社会でもある。そこから脱落しそうな人には「福祉」を与えることで対応してきたのだ。「地域コミュニティの力が薄くなった」といわれるが、むしろ積極的に破壊してきたともいえるのが今の日本だ。特定の地域コミュニティに依存するのではない「全国一律のユニバーサルな社会」を目指してきたのだ。
 一方でタイでは、国家による支援は限定的として、地域コミュニティの力を最大限に活かす「支え合う支援」が進められているのを今回の訪問ではじめて知った。高齢者や障害者などのケアは家族をはじめとしたコミュニティにゆだねられている部分が大きい。
 それを実感した一例として、ロブリ県カオプラガム市で訪問した高齢者のお宅がある。その一人暮らしのおばあちゃんは、毎年のように洪水被害がある危険な地域に住んでいた。別の安全な場所に移転してもらうのか、地域で引き続き暮らすのかを、本人や地域、行政で話合い、その結果、「あえて」危険な場所で 引き続き暮らすことになったとのことであった。危険があっても地域で支え合いながら暮らすことのほうが、そのおばあちゃんにとっても、地域にとっても幸せだという判断であった。
恐らくこの場合、日本であれば、「安全で快適な住宅」に引っ越してもらうのであろう。事故あれば行政は批判される。おばあちゃんは「安全だけ」を望んでいるのかとの疑問は持たないようにしている面があるのではないかと感じた。
ところで、今回のツアーで最も私の考え方が変わったと感じる考え方をひとつ紹介したい。それは、アジア太平洋障害者センター(APCD)で伺った話である。障害者の社会活動に制限があるのは、当事者本人の問題ではなく、社会のバリアの問題という考え方である。たとえば、車椅子を利用する障害者は階段を登れない。しかし、エレベーターがあれば問題はない。つまり、問題は障害者本人にあるのではなく、障害者を取り巻く環境にあるのである。このような考えかたは、「障害の社会モデル」といわれており、福祉に関わる人にとっては当たり前のことであるとのことであるが、私ははじめてうかがった。
大多数、つまり健常者にとって暮らしやすい建物とは、限られたスペースを効率的に使ったものであろう。エレベーターを設置すれば、スペースを必要とするし費用もかかる。その「コスト」はエレベーターを必要としない人も含めて負担することになる。
それでも、すべての人にとって住みよい社会とは、そのような社会ではないだろうか? 大多数の人の快適さのために、一部の人を取り残す社会であってはいけない、だから社会モデルの考え方が必要だと思った。
また、この考え方は障害者だけではなく、私は先に挙げたいわゆる社会的弱者すべてにこの考えがあてはまるのではないかと考えた。外国をルーツとする子どもが十分な教育を受けることができないのも、子どもに問題があるのではなく、社会が適切な対応を取るべきではないかと。その他、生きづらさを抱える人の「生きづらさ」とは、多くは個人の問題ではなく、社会の問題ではないかということを。 
では、そうした「社会」を作り動かしているのは誰なのであろうか?国際協力機構(JICA)タイ事務所を訪問した際にもやもやしていた点をずばり問われた。
「権力を持った政治家、大金持ち、大国」という回答があった。もちろんそれらはすべて事実なのであろうと改めて考えさせられた。私は、市民こそが社会をつくり動かしていると信じて、いわゆる市民活動に関心を持ち、ひごろ活動をしている。「社会をよくしよう」と活動している人たち、あるいは一人ひとりは弱くても皆で頑張れば社会がよくなるという考え方(=エンパワメント)を実践している人たちの話を聞いたいま、これから社会を作って動かしていくのは自分自身を含めた市民なのだという考えはより一層強まった。
最後になるが、わたしたちが目指すべき社会とはどのような社会なのかについて私の考えを書きたい。現在私は、アクションポート横浜という団体で、「まちにたくさんの主人公を!」を合言葉に若者と地域をつなげる活動をおこなっている。地域には様々なひとがおり、泥臭い様々な非効率な活動がある。でも、都合の悪い部分を排除してしまうのではなく、すべてを含めた誰ひとり取り残さないインクルーシブな社会こそが目指されていくべき社会だと私は考えたい。それら良いところ不便なところを含めて楽しんでいくことが今後求められていくのではないだろうか。みんなで面倒くささを楽しむというヒントが、タイの文化や暮らしや人にあると感じた。

注:スタディツアー」との名前がついていますが、旅行会社などが企画する「ツアー」ではありません。野毛坂グローカルに同行して現地を訪問するものです。各自の責任のうえでの個人旅行となり、野毛坂グローカルは旅行の実施やトラブルに関する責任を負いません。
(野毛坂グローカルの道義的な責任はありますので、万が一の事故やトラブル時もできるかぎりのサポートは実施)

申し込み/問い合わせ先:こちら

 

 

 

 


2)出張同行

野毛坂グローカルでは、現在月に一度程度の頻度でタイに出張しています。
「高齢者ケア」「多文化共生」「青少年活動促進」活動に関して現地自治体、省庁、NGO、大学などを訪問し、打ち合わせや調査を行います。同行いただくことによりスタディツアーでは体験できない経験ができると思います。
希望する学生は気軽に問い合わせください。

●自己負担:
航空賃、宿泊(一泊4000円程度)、その他個人的費用
●野毛坂グローカル負担:
食事代(一緒に食事をする際)、タイ国内交通費
なお、あくまで「同行」でありツアーではありません。
(ご自身で安全管理など責任を持っていただきます)
※原則学生とさせていただきますが、それ以外の方は費用負担をいただいたうえでの同行を検討しますので問い合わせください。
 
 
 

参加学生の感想例:

国際教養大学 鈴木知世さん

私は春休み期間中に、野毛坂グローカルの奥井さんの出張に同行させていただいてタイの様々な地域をまわる経験をすることができました。

「タイの高齢化への取り組み」を軸に自治体や施設を訪問し、記録の作成やイベントの企画・運営・司会といった役割を果たすことが主な活動でしたが、それ以外にも、タイに暮らすミャンマー出身の方々のコミュニティやスラムを訪れたり、バンコクやサメット島の廃棄物収集地区に足を運んだりと、私自身がやってみたいと思うことも数多く反映していただき私の想いにも柔軟に対応していただきました。

また、良い意味で「余白」がたくさんある旅路で、1日に数個の予定を終えたあとに、町を歩き、村へ入っていき、偶然出会ったひとやものから、沢山の学びや気付きを受け取ることができました。

マングローブ林の開拓地を歩いている途中に泥沼にはまってしまうというようなハプニングもありましたが、その後地域の方々に助けられ、会話も生まれたことから、私にとっては尊い思い出となりました。 そして、奥井さんと移動時間などに語ったり議論したりするなかで、新たな視点から社会課題について考えるきっかけをいただきました。

スケジュールや金銭面など様々なハードルがあり、私自身も金銭面から参加できるかどうか迷いましたが、参加して良かったと思います。

同行した体験をもとにした寄稿記事

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大阪大学 松井音明さん

高齢者ケアの現場に足を運んだり、様々な打ち合わせに同席したりと、とても貴重な経験をさせて頂き、有意義な2週間でした。

高齢者ケアに関するコミュニティベースの取り組みや、プロジェクトを進めていく過程の一部を見ることができ、毎日学ぶことが沢山ありました。

言動からどのように意図を汲み取るかや、施設を訪問した際にどういった点に着目するかなど、奥井さんの長年の経験から学ばせて頂いたこともあり、とても興味深かったです。

また、打ち合わせの際に、野毛坂グローカルは「学び合い」を大切にしているということをよくおっしゃっていましたが、プロジェクトにおいてだけでなく、普段の人間関係などにおいても「学び合い」を大切にされていると感じ、その姿勢がとても印象に残っています。

そして、合間の時間に進路や働き方、社会課題などについてお話を伺えたことや、様々な経験やキャリアを持った方々とお会いできたことも、社会や自分自身についてより深く考えるきっかけとなりました。

また、クロントゥーイのスラム街に連れて行って頂いた際には、予想と同じような部分もあれば、少し違った部分もあり、実際に行ってみないとわからないことが沢山あると感じました。それから、今回のメインではないですが、私の中ではカンボジア人コミュニティ訪問がとても印象に残りました

講義で聞いたりインターネットで調べたりして知るのと、実際に人々に会って様々な境遇や思いを聞くのとでは、感じる重みが全く違うということを知ることができました。

そして、外国人コミュニティや教育問題についてもさらに関心を持つきっかけになりました。

申し込み/問い合わせ先:こちら

 

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