1月29日(月)のNHKラジオ第1の「マイあさ!」で、番組の日本時間午前6時台前半で、ブンイトー市での高齢化対策の取り組みについて放送されました。
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ワールドリポート 今朝は タイからです。
東南アジアの中でいち早く経済成長を遂げ、日本企業も数多く進出するタイなんですけども。実はいま急速な少子高齢化に直面しています。
少子高齢化の課題に タイが日本の支援を受けながら取り組んでいることについて、アジア総局の鈴木陽平記者に聞きます。
鈴木さんおはようございます。タイの高齢化はどのような現状なんでしょうか?
 
<アジア総局 鈴木記者>
タイでは1人の女性が一緒のうちに生む子供の数の指標となる合計特殊出生率は3年前に1.33と過去最低となり、一昨年1.26だった日本とほぼ同じ水準となっています。
一方でタイの高齢化は日本を上回るスピードで進んでいて。2030年には65歳以上の高齢者が人口の21%を超える超高齢社会に突入すると予測されています。
タイでは 一人暮らしの高齢者の孤立など日本と共通する課題を抱えるようになっているんです。
 
<スタジオ>
東南アジアのタイが日本と同じような少子高齢化が課題になっているというのは驚きなんですけれども、それに対してタイではどのような取り組みが行われているんでしょうか。
 
<鈴木記者>
高齢化に対応するための公的な制度が十分でないタイでは、地域の高齢者が安心して暮らせるような場を作ろうという試みがはじまっています。
私は先日、首都バンコクから車でおよそ1時間、中部パトムタニ県にオープンしたあるバーを取材してきました。
バーの名前はシックスティバー(60’バー)。タイで高齢者と整理される60歳以上のためのバーなんです。
日本のスナックを参考にして作られたという店内では、1980年代の懐メロの生演奏に合わせて踊ったり、お酒を片手にカラオケを楽しんだりできます。
高齢化のタイを支援するため日本の JICA、国際協力機構のプロジェクトに関係して始まったお酒の飲める居場所として、タイの初めての試みで、プロジェクトには神奈川県湯河原町も参加しています。
高齢化が進む自治体との意見交換からヒントを得てたどり着いたのは孤立しがちな高齢者が気軽に立ち寄れる場を作るということでした。
タイではこれまで家族が高齢者を支えるというのが一般的だったんですが、少子高齢化や若い世代の都市部への流出で、それが成り立たなくなってきていると言います。
バーを訪れた 69歳の男性は自宅で孤独を感じていたということですが 新たな 顔見知りができ、地域のつながりを実感するようになったと話していました。
 
<スタジオ>
一足先に高齢化と向き合ってきた日本と協力して、タイが少子高齢化の課題と向き合っているということですね。
<鈴木記者>
はい。一方でタイで高齢化プロジェクトを支える横浜市のNGO、野毛坂グローカルの代表奥井利幸さんは日本もタイの現場から学ぶべき点があると指摘しています。
奥井さんはタイなどで 地域づくりの支援に30年以上 携わってきましたが、日本の支援の形は、これまでのインフラの整備や技術支援といったものから、共通する課題にともに向き合う形へと変わってきたと感じています。
奥井さんがタイの人々と接する中で 日々感じているのが助け合い精神の強さだと言います。
公的な支援が手薄なタイでは、多くの住民がボランティアとして見回り活動に参加し、住民どうしの支えあいで高齢者を支えてきました。
さらにタイ特有の明るさと緩さで、楽しみながら無理なく 地域での活動が続いていました。
高齢化社会に向き合うと言うとどうしても重く捉えがちですが 安心して暮らせる地域を楽しみながら作れというタイの取り組みは。とも参考にできるというのです。
タイの現場を取材して日本とタイがこれまでの支援する、支援されるという関係ではなく、共通の課題に向き合いながら模索する新たな関係が始まっていると感じました。
<スタジオ>
はい アジア 当局の鈴木陽平記者に聞きました。