日本の介護分野では、外国人介護士の存在が欠かせなくなっています。しかし、人手不足の解決策として外国人介護士を受け入れた施設などの現場では、日本人職員の負担増にともなう反対運動や離職、外国人介護士の孤立や退職など、様々な問題が発生しています。

 外国人介護士の受け入れを円滑に進めるために考慮すべきなのは、教育体制、待遇、国家試験支援制度、日本語教育、人間関係などがありますが、実は「それぞれの文化が行動に与える意味の違い」を理解することが重要です。
 制度的背景、多国間の制度比較に加え、送り出し国における文化や死生観、介護観に焦点をあて、日本との違いや留意すべき点をまとめ、外国人介護士と共に実現する高齢者ケアのあり方を展望する書籍「外国人介護士と働くための異文化理解」渡辺長(編・著) , 糠谷和弘 , 小島賢久 , 米田裕香 , 中込節子 , 渡辺幸倫 , 坂内泰, 他(共著) を出版された著者の方々をお迎えし、この書籍の執筆の背景や概要についてお伺いします。

外国人介護士は介護施設での労働者であるとともに、日本に住む市民でもあり、多文化共生社会を考える機会にもなることを期待します。

外国人介護士と働くための異文化理解
A5判 304ページ 並製
価格:3,190円 (消費税:290円)

ISBN978-4-87259-751-6 C1036
奥付の初版発行年月:2022年02月 / 発売日:2022年02月上旬https://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-87259-751-6.html

【日時】2022年6月25日(土) 10:00- 12:00

【会場】
  ・リアル会場 大阪大学吹田キャンパス 人間科学研究科 本館31講義室
   最寄り駅:阪急電車千里線 北千里駅or大阪モノレール 阪大病院前駅
 
  ・オンライン会場(zoom) 

【参加料】会場 オンラインとも無料

【対象者】異文化理解に興味のある人、高齢者福祉に携わる人、
国際協力関係者、学生など


【申し込み】https://forms.gle/cFHceUfX58VXbf7a8

【主催】野毛坂グローカル

【共催】大阪大学大学院人間科学研究科地域創生論研究分野


プログラム(敬称略):
趣旨説明、書籍紹介など

・話題提供 外国人介護士の制度  小島賢久 森ノ宮医療大学教授
・話題提供 外国人介護士の状況について 渡辺長 帝京科学大学講師
・話題提供 介護現場の日本語 坂内泰子 クレア地域国際化推進アドバイザー

・オーサーズトーク
 執筆者(河森正人 大阪大学教授、渡辺幸倫 相模女子大学教授、郭芳 同志社大学助教、細田尚美 長崎大学准教授、柳澤沙也子 長崎大学教)方々に書作部分の内容概要や著作に関した思いをお話いただき、その後、会場を含めてトークをしていきます。

司会:森本莉永

ファシリテーター:鈴木知世

【著者・パネリスト略歴(敬称略)】

・渡辺長:帝京科学大学講師
 帝京科学大学医療科学部理学療法学科講師。専門はグローバルヘルス、アジアの高齢者福祉、地域社会学。主な著作として「タイの伝統的ケアの揺らぎ一高齢者ケアを担う家 族に対する質的分析一」『東南アジア研究』(參卷參号、2021年)などが ある。所得、社会保障、マンパワー、地域資源が限定的な東アジア諸国の 中で深刻化する高齢化に対し、医学、疫学、社会学、地域学を踏まえた分野横断的観点からどういう貢献ができるのかを国境を越えて模索している。

・小島賢久:森ノ宮医療大学教授
学校法人森ノ宮医療学園 理事、森ノ宮医療大学特任教授。2019年4月森ノ宮医療学園ランゲージスクール(現 森ノ宮医療学 園ウェルランゲージスクール)を開校し、外国人日本語教育を開始。 2021年4月からは同校で介護福祉学科を開設し、日本語学科、介護福祉 学科が一体となった外国人のための介護福祉士養成教育を行っている。

・河森正人:大阪大学人間科学研究科教授
専門は高齢者福祉。主な著作に『夕 イの医療福祉制度改革』(御茶の水書房、2009年)、『東アジア新世紀』(大 阪大学出版会、2016年)がある。

・渡辺幸倫:相模女子大学学芸学部教授
相模女子大学学芸学部教授。主な業績に、『多文化共創社会への33の提言:気づき愛Global Awareness』(共著、都政新報社、2021年)、『多文化社会の社会教育 公民館•図書館•博物館がつくる「安心の居場所」』(編著、明石書店、 2019年)『買い物弱者とネット通販在外子育て家庭からの示唆』(共編 著、くんぷる、2019年)、『多文化「共創」社会入門 移民•難民とともに 暮らし、互いに学ぶ社会へ』(共著、慶應義塾大学出版会、2016年)、『多 文化社会の教育課題:学びの多様性と学習権の保障』(共著、明石書店、 2014年)などがある。

・坂内泰子:(一財)自治体国際化協会地域国際化推進アドバイザー・日本語教師
主な著作として「やさしいにほんごの普及をめ ぐって」(2013『神奈川県立国際言語文化アカデミア紀要』第2号)、「や さしい日本語一「優しいjと「易しい」で伝えることから」(『多文化共創 社会への33の提言』都政新報社、2021年)、そのほか地域日本語教育用 教材として『つながるにほんご かながわでともにくらす』(神奈川県、 2013年)、『やさしいにほんごでつながるコミュニケーション-シート』 (神奈川県、2018年)などがある。

・郭芳:同志社大学社会学部助教
主な著作として『中国農村地域における高齢者福祉サービ スー小規模多機能ケアの構築に向けて一』(明石書店、2014年)、「中国の 介護市場に進出した『日本式介護』の特徴を探る一事例調査を通しての分 析一j (『評論•社会科学』124号、107-124頁、2018年)、「中国にお ける福祉の『市場化』の展開と特徴に関する考察」(『社会政策』10(2)、 105-116頁、2018年)がある。

・細田尚美:長崎大学多文化社会学部/研究科准教授
専門は文化人類学、東南アジア地域研究、国際労働移民 研究。主な著作として『湾岸アラブ諸国の移民労働者一「多外国人国家j の出現と生活実態』(編著、明石書店、2014年)、『幸運を探すフィリピン の移民たち一冒険•犠牲•祝福の民族誌』(明石書店、2019年)がある。

・柳澤沙也子:長崎大学生命医科学域(保健学系)助教
専門は国際保健、在宅看護学、老年看護学。岡山県美作市出身。病院、有料老人ホーム等で勤務した後、JICA海外協力隊看護師隊員としてインドネシア共和国に赴任。旅と電車と読書が好き。

【司会・ファシリテーター略歴(敬称略)】

森本莉永:

大阪大学でヒンディー語を専攻、同大学大学院人間科学研究科博士前期課程2020年修了。兵庫県豊岡市の地域おこし協力隊員として。豊岡と外部を繋ぐ取り組み、農業を通した地域コミュニティ活性化などをおこなっている。神戸市出身。猫,バイク,サーフィンが趣味。

鈴木知世:
秋田に暮らす国際教養大学3年生。これまで、フィリピンやタイ、シエラレオネに関わる団体に携わってきた。高齢者福祉分野で働く家族をもち、実家のすぐ隣の施設ではフィリピン・タイ・ベトナム出身の介護士が働いているのを垣間見てきた。すべてのひとにとって働きやすく暮らしやすい環境を目指すため、介護の文脈での多文化共生・共働において大切な要素を学びたいと考えている。趣味は音楽、散歩、旅先でのまち歩き。